維持保全計画に関する情報提供

BELCAでは建物のロングライフを実現する上で不可欠な「維持保全計画」について、書籍「建築・設備 維持保全計画の作り方」の発行を始めとして、書籍を利用した講習会の実施等、周知・活用の促進を図る活動をしています。


 建築基準法第8条は、建築物の所有者、管理者又は占有者に対して、建築物 の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めることを求めており、建築基準法第8条第2項では、政令で定める建築物等について必要に応じて維持保全に関する準則又は計画を策定し、その他適切な措置を講じるよう求めています。
 また、建築基準法第8条第2項における「維持保全に関する準則又は計画」の作成指針は、昭和60年の建設省告示第606号第3第1項に「計画に定めるべき事項」として、10の項目と各項目に定めるべき事項が示されています。
  BELCAでは、告示の「計画に定めるべき事項」を踏まえて、一般的なオフィスビルを対象とした「維持保全計画」の様式の例を作成しています。

 ■維持保全計画の様式例(エクセルファイル)

維持保全計画に定めるべき事項

1. 平成30年度の建築基準法(維持保全計画部分)の改正について

 近年の大規模火災等を踏まえた建築物・市街地の安全性の確保等の必要性から、平成30年6月に建築基準法が改正されました。維持保全については、維持保全計画の作成等が求められる建築物の範囲(規模・用途等)の拡大等が行われています(令和元年6月25日施行)。

◆維持保全関連の改正内容
 建築基準法(第8条(維持保全))
 建築基準法施行令(第13条の3)
 昭和60年建設省告示第606号

 この一環で、昭和60年建設省告示第606号についても改正がなされ、「一定の小規模の特殊建築物」や「大規模倉庫等建築物」の維持保全計画を作成する際に点検等の計画作成にあたって少なくとも留意すべき事項が新たに定められました。
 BELCAでは、この度、大規模倉庫等建築物の維持保全計画を作成するにあたって少なくとも留意すべき事項に関する参考様式を作成いたしました。
 ◆大規模倉庫に関する維持保全計画 参考様式

 当該様式は、今回の建築基準法の改正に伴い、維持保全計画の作成対象として位置付けられた3,000㎡を超える倉庫について、維持保全計画作成の際に参考としていただけるものとして、改正された告示第606号を踏まえつつ、当協会が作成しました。
 なお、本参考様式については、令和元年6月24日付で国住指第654号・国住街第41号「建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)」の別紙4で通知されています。

※国土交通省ホームページ:
『令和 元年6月24日付国住指第654号・国住街第41号「建築基準法の一部を改正する法律等の施行について(技術的助言)」』、『別紙4「大規模倉庫を対象とした適切な維持保全の促進」』

2. 令和 4 年の建築基準法告示(維持保全計画部分)の改正等について

(1)木造の屋外階段がある建築物についての維持保全計画の作成について
 令和3年4月に発生した、東京都八王子市内の木造共同住宅の屋外階段崩落事故を受け、同様の事故の発生を防止するために令和4年1月18日に建築基準法施行規則等が改正(令和4年4月1日施行(一部令和5年4月1日施行))されました。
 本改正においては、「適切な維持管理の確保」という観点から、告示第606号については第3項第4号に『木造の屋外階段がある建築物について「留意すべき事項」』が新たに規定されました。 なお、本改正に際して、令和4年1月18日付けで国住指第1469号・国住参建第3179号「木造の屋外階段等に関する建築確認・検査及び維持保全等について(技術的助言)」が発出されております。
 国土交通省ホームページ:『令和4年1月18日付けで国住指第 1469 号・国住参建第 3179 号「木造の屋外階段等に関する建築確認・検査及 び維持保全等について(技術的助言)

(2)遊戯施設の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針等 について
 遊戯施設においては、部品交換の懈怠など、適切な点 検等が行われていなかったことが原因と考えられる事故が後を絶たない状況が続いていたことから、令和元年の建築基準法施行令の改正を受けて、建築基準法第88 条第1項において準用する第8条第2項の規定による維持保全計画の作成等の対象に遊戯施設が位置付けられました。
 これをうけて、「遊戯施設の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針」(令和4年国土交通省告示第412号) が令和4年3月31日付けで公布・施行されました。なお、本告示の公布に際して、国住指第1592号「遊戯施設の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針等について(技術的助言)」が発出されております。

3.令和5年の建築基準法施行令(維持保全計画部分)の改正について
 「大阪市北区ビル火災を踏まえた今後の防火・避難対策等に関する検討会報告書」における提言において、定期調査の指定可能対象範囲を拡大すべきとの指摘がなされたことなどから関連政令等が改正されました。維持保全については、維持保全計画の作成等が求められる建築物の範囲が拡大されました。
  
  建築基準法施行令(第13条 の3)


 BELCAでは、維持保全計画の策定にあたってのガイドブックとして書籍「建築・設備維持保全計画の作り方」をとりまとめて、平成2年の第1版発刊以来、改訂を重ねております。書籍では、維持保全計画の内容を解説した上で、維持保全計画書の様式を示し、事例を通して維持保全計画書の作り方を学べます。平成28年には、ロングライフ化を見通した建築物のライフサイクルマネジメントという観点を取り入れ、維持保全計画を長期、中期、短期の3つの時間軸に分けて整理し、併せて、省エネルギーの推進等の社会状況の変化についても記述を充実させ、「新訂版」としました。
 平成30年の建築基準法の改正に伴い、維持保全計画作成の対象となる建築物が拡がったことを受け、令和2年7月に「新訂2版」を発行いたしました。なお、維持保全計画の様式の例(エクセルファイル)は以下の通りです。

維持保全計画の様式例(エクセルファイル)
 *令和4年の告示、令和5年の施行令改正等を受けた追補について

書籍目次

 BELCAでは、建物の維持保全計画の適切な策定に資するため、平成22年より書籍「建築・設備維持保全計画 の作り方」をテキストに用いて、維持保全計画を作成する際のポイント等を少人数で演習しながら学べるセミナーを開催しており、多くの方にご参加いただいております。

  参考:令和5年 度講習案内・申込書

受講の様子
開催年度開催回数開催地
令和5年度3回東京会場(2回)、大阪会場(1回)
令和4年度3回東京会場(2回)、大阪会場(1回)
令和3年度3回東京会場(2回)、大阪会場(1回)
令和2年度3回東京会場(2回)、大阪会場(1回)
令和元年度2回東京(2回)
*大阪会場は中止
省略
平成22年度2回東京会場(1回)、大阪会場(1回)
合  計39回
                  *令和6年3月末時点

1. 建築・設備総合管理士資格制度

 建築物のロングライフ化のためには、建築物のライフサイクルにおける諸課題に対して維持保全計画の作成・実行等を通じて適切にマネジメントすることが重要になります。
 BELCAでは、ライフサイクルマネジメントの担い手を育成することを目的として「建築・設備総合管理士資格制度」を設けております。当該制度は、建築物のライフサイ クルマネジメントに係る技術を体系化した講習等を行い、講習を修了し、建築物のライフサイクルマネジメント業務を適切に実施する能力を有する技術者として認められた者に「建築・設備総合管理士(ビルライフサイクルマネジャー)」又は「建築・設備総合管理士補(ビルライフサイクルアシスタントマネジャー)」 の称号を付与するものです(資格の概要等についてはこちら)。

2. 書籍「建築 物のライフサイクルマネジメント用データ集」及びそれを用 いた長期修繕計画策定演習セミナー

 BELCAでは、維持保全計画の中で重要な計画内容となる「長期修繕計画」の策定にあたって不可欠な内外装や設備機器の修繕周期や更新周期等の関係データを取りまとめ、「建築物のライフサイクルマネジメント用データ集」として刊行しております。
 この「建築物のライフサイクルマネジメント用データ集」を用いて、長期修繕計画の策定手順や同書のデータの活用方法を解説するとともに、皆様の実務に活かせるよう、モデル建物の工事見積書から長期修繕計画の策定を演習していただくセミナーを毎年開催しております((参考)過去の実施例)。長期修繕計画の策定等の業務に携わる方は、参加等ご検討ください。

○本ページのお問い合わせ先

 公益社団法人ロングライフビル推進協会(BELCA) 事業推進部 
 TEL:03-5408-9830

※「● その他」の1の内容については「資格推進部」、2の内容については「開発研究部」にお問合わせください。)

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