国際基督教大学本館│第35回BELCA賞

建物外観

建築物概要 ―Outline of Architecture―

エントランスホール
ヘリテージルーム
教室・ラウンジ

表彰建築物ならではの取り組み ―Building-specific Initiatives―

「国際基督教大学本館」において、設計・計画・維持管理等の各段階で実施されている、特筆すべき工夫や取り組みを紹介します。

大学
校舎
1940年代
RC造
設備性能
耐震補強
ユニバーサルデザイン・バリアフリー
多様性
ランドスケープ
歴史の継承

※PDFより抜粋

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選考評 ―Selection Commentary―

歴史的な建築にも様々な種類の建築がある。有名建築家の設計した建築、地元の愛されている建築、地域住民に開かれた建築、精神的な支えとなってきた建築など、多様な視点でその価値を見直す時期に来ているのかもしれない。

戦後80年が経過し、平和の尊さを感じるために戦火を思い出せる世代の人口が減少している。歴史的な意味を持つ建物の一つとして、その戦火をまぬがれ、用途を変え、世代を跨いで活躍している建物もある。キャンパスの土地利用計画の変遷まで含めて、その建物やランドスケープを次代につなぐことには大きな意義を感じる。

この国際基督教大学本館は、ストイックな戦時中の合理的建築物を、威厳を備えた大学の主たる象徴としてよみがえらせ、さらに実用的な建築とするべく改修工事を重ねてきている。その後の長い歴史の中でも改修を継続的に行ってきており、1981年および2024年の大規模改修をはじめ、定期的な外壁・設備の更新を通じて、環境性能と快適性の両立を実現している。また改修工事費の一部が卒業生を中心とする寄付で賄われていることも重要な意義があるように考える。

2024年改修では、躯体の断熱強化やLow-E複層ガラスの採用、講義室のゾーニングによる冷暖同時運転の導入、室外機と室内機を同フロアに設置することで能力低減を抑えて,最適運用を図ることでエネルギー効率と快適性を大きく向上させている。また、CO2濃度制御やLED照明、リバースリターン方式によるポンプ動力の削減など、省エネルギーへの多面的な取り組みも高く評価できる。さらに、自然共生サイトとしての認定を受けるなど、周辺環境・生物多様性への配慮も徹底されており、今後の教育施設改修の模範となる優れた改修・維持事例である。

2024年の改修で特筆するべきは、建物の威厳をそがない改修計画の妙であり、そこへのこだわりだと考える。具体的には外壁における給排気開口への配慮が十分にされており、正面側における表情を大きく変えることなく、集約的に建物の正面に開口を設けることを意図して避けている。これによりファサードにおける象徴性とキャンパス全体の雰囲気を継承していると評価できる。 現在、学生募集や運営、立地などの面で多くの課題を抱える日本国内の大学キャンパスの中、卒業生によって支えられているこのキャンパス、その中で象徴的なこの建築は、日本の大学キャンパスの歴史においても大きな意義を持っていると考える。同時に80年前の戦争に対する思いを寄せる機会を与え続ける建築としてもその継承に大きな意味があると考える。

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