厚木市文化会館│第35回BELCA賞

建物外観

建築物概要 ―Outline of Architecture―

大ホール
小ホール(舟底舞台・文楽回し)
ヒメアマツバメとの共生

表彰建築物ならではの取り組み ―Building-specific Initiatives―

「厚木市文化会館」において、設計・計画・維持管理等の各段階で実施されている、特筆すべき工夫や取り組みを紹介します。

公共施設
ホール・劇場
1970年代
RC造
レンガ
PFI/指定管理者
ヒメアマツバメ
特定天井
耐震
省エネ
厚木市文化会館の取り組みスライドの一例。外壁補修について。

※PDFより抜粋

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選考評 ―Selection Commentary―

公共施設として「文化会館」、「市民会館」等の名がつく建築は全国に多数存在する。その運営や活用方法には指定管理者制度をはじめ、様々な工夫がされている。多くの場合は、地域住民の文化活動の拠点、地元文化を楽しむ場として、また、その継承者育成の場としても非常に有意義な空間となっている。

一方で活動の継続性を支えるために必要な収益施設としての側面も重要である。健全な運用によって施設利用のサステイナビリティーを確保することや、それによって利用者の施設への思いを重ねることが大切な要因ではないかと考える。その成否に関しては様々な尺度があるが、そのような地域住民の思い入れや愛着も一つの重要な要素だと考える。

厚木市文化会館はレンガ壁が特徴的な文化会館である。地元文化である「相模人形芝居」の特殊舞台を擁し市民がその文化を享受できる、地域に根差した建物である。また、予期せぬこととはいえ、ヒメアマツバメの営巣がこの施設利用者にとっても一つの名物となっている。そのような地域固有の資産を継承する建物が全面改修された。これまでの改修工事を経ての再改修であり、特定天井の耐震化では過去の補強箇所を全数把握し、現況に即した緻密な計画で1,000箇所超の補強で安全性が確保された。丁寧な工事対応であり、仮設計画含めて省コストの工夫も見られた。

空調設備はセントラル方式から大ホール以外を個別分散化し、利便性を向上させるとともに、コロナ対策として導入した外気導入の変風量制御を省エネ運用へと転換することで、全体で39%のエネルギー削減を達成している。地域の文化拠点としての価値を守りつつ、防災・環境性能を刷新している。

特徴的なレンガの外壁は躯体の外部側にレンガを積み上げられており、レンガタイルとは異なる重厚感を醸し出している。このレンガの重厚感を残した丁寧な改修も建物への愛着を継承することに大きな役割を果たしているものと考える。 一方で、昨今の建設費高騰で公共施設の改修工事による機能更新が難しくなっている。その中で、改修工事の建築仕上げの範囲について細やかに調査され、最小限の工事に抑えられている。これは建物自体が非常に丁寧に使われてきた結果であり、地域に愛されてきた建物であることがわかる。仕上げの改修範囲を最小化し、コストを抑えたことで、市民活動、地元文化の継続的な運用が可能となったことに大きな意義を感じた。ヒメアマツバメの営巣の継承を実現できたのも、この建物への市民の思いがその一端ではないかと考える。

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