中野市市民会館 ソソラホール│第35回BELCA賞

建築物概要 ―Outline of Architecture―
| 表 彰 部 門 | ベストリフォーム部門 |
| 建物所有者 | 中野市 |
| 改修設計者 | ㈱環境デザイン研究所 ㈱宮本忠長建築設計事務所 ㈲金箱構造設計事務所 ㈱森村設計 ㈱永田音響設計 中野市 くらしと文化部 文化スポーツ振興課 |
| 改修施工者 | 中野土建㈱ 中沢建設㈱ ㈱関電工(電気設備) 金澤工業㈱(空調衛生設備) |
| 竣 工 年 | 1969年 |
| 改 修 年 | 2024年 |
| 改修前用途 | 官公庁舎(劇場) |
| 改修後用途 | 官公庁舎(劇場) |
| 所 在 地 | 長野県中野市三好町1-3-12 |



表彰建築物ならではの取り組み ―Building-specific Initiatives―
「中野市市民会館 ソソラホール」において、設計・計画・維持管理等の各段階で実施されている、特筆すべき工夫や取り組みを紹介します。
公共施設
劇場・ホール
1960年代
RC造(一部S造)
音響性能
設備改修
特定天井
ユニバーサルデザイン・バリアフリー
快適性
市民活動

※PDFより抜粋
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選考評 ―Selection Commentary―
中野市は長野県北部に位置する人口約40,000人の比較的小規模な市である。本建物は1969年に建設されてから50年以上経過し、耐震不足や著しい老朽化に伴い今回、大規模なリノベーションを行った建物である。
既存建物の南側には機械室棟があり、市役所との動線を分断していたが、南北につながる市民会館の文化軸・市民創造回廊を形成する事により、市庁舎からの繋がりや新エントランスの提案を行っている。音楽都市「中野市」にふさわしい音響性能を追求したホール棟では、音響シミュレーションを基に、より豊かな響きを追求し、座席配置も従来の平行型から囲み型に改修することで客席と舞台の一体感を高め、さらにバリアフリー・ユニバーサルデザインの観点から、客席にバリエーションを設けている。親子や障害のある方も鑑賞できるような親子鑑賞室を設置したり、車いす席を介助席とともに設けるなどさまざまな市民が鑑賞できるような設えとなっている。ホール天井の改修においても、音響環境改善も含め、形状の変更、軽量形鋼を用いた新たな構造体を構築し、剛性の高い天井を実現した。このように耐震補強では、当時のデザインを尊重する事で愛着を継承しながら利用者の安心と安全を確保することを実現している。
地下に配置されていたトイレを1階に、機械室を地下に移設するなど、建築・設備両面で抜本的な改修が施され、使い勝手や設備的効率性が大きく向上した点は高く評価できる。空調設備には空冷ヒートポンプチラーや外調機を採用し、外気冷房・CO2制御・変風量制御の導入で快適性と省エネルギー性を両立。電気設備も人感センサー照明や点滅区分の細分化で消費電力を削減し、非常用発電機の設置により災害時の対応力も強化されている。
中野市では、プロジェクトの進捗状況を市民向けに公表し、勉強会やワークショップを開催することで計画の方向性を明確にしており、ロビーやホワイエ周りにキッズコーナーや授乳室の配置、コンサートや演劇など、それぞれが専門的に行える広さと裏動線を確保するなど市民の声にも耳を傾け、より使い勝手の良い施設となっている。既存建物と新築回廊部分を繋げる工事等難易度が高い工事であったが、大手ゼネコンに依らずとも適切な監理体制のもとで工事が完成されている。
建設コスト高騰の状況の中、入札不調等困難な状況であったが、事業者・設計者が粘り強くコストコントロールを実践している。一例としては、全館避難安全検証による国土交通大臣認定の性能評価を受けることで防災設備等工事費の縮減や今後の将来の維持管理費削減につなげることができている。 リノベーションによって新築同等の機能を持つホールを完成させたプロジェクトである。全体を通して事業者・設計者・施工者がそれぞれの役割を最大限発揮し、最小限のコストで完成させたことは非常にすばらしいことであり、公共建築のリノベーションの良い事例と思われる。

