22回BELCA賞ロングライフ部門表彰建物

住友ビルディング

所在地 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号
竣工年 1962年(昭和37年)
改修年 1989年(平成元年)、1993年(平成5年)、2005年(平成17年)、2010年(平成22年)
建物用途 事務所ビル
建物所有者 三井住友信託銀行梶A住友商事
設計者 鞄建設計(元設計・改修設計)
施工者 椛蝸ム組(元施工・改修施工)
維持管理者 住商ビルマネージメント

住友ビルディングは当初住友銀行の統括営業部の拡充移転先として計画され、1962年に竣工し、築50年の自社事務所ビルである。完成後も、オーナー、管理会社、ユーザー会社がすべて住友グループの主要会社で占められ、使用・維持管理されてきた。50年間安定して、継続的に、一貫した体制の元、維持保全され、今も同様に事務所ビルとして使用されている。
 83.8 m×68.3mの正方形に近い平面に、奥行き18.6mの事務室を四方に持つセンターコアの基準階、12階建て高さ45mのオフィスビルである。9.3m×6.2mの均等スパンで構成された構成はシンプルで秀逸である。階高3660天井高2750で、OAフロア対応を除けば今でも通用する断面。外観は横連層バルコニー付でおとなしいが飽きさせないデザインである。大きな改修を行うことなく50年経過した今でも古びることないロングライフビルと言ってよいものである。
 実施された改修は建築的には、既存サッシにガスケットを取り付けての窓ガラス複層化と、エレベータホールの内装や地下食堂の内装改修程度である。設備的には、氷蓄熱の導入を始めとし、ペリメータ部分へのGHPの導入、照明器具の更新に合わせ省エネ型HF照明器具と照度センサーの採用でエネルギー消費量の大幅低減を実現し、現代のビルが必要とする省エネ・快適性能を実現できている。エレベータを16基から12基に減らしエネルギー消費量を低減し、不要となったエレベータシャフトをターミナル空調スペースへの有効利用も図っている。更に、BACnetにより空調機制御を総合化し、BEMS導入で設備制御管理の合理化を実現し、1次エネルギー使用量を1,716MJ/u・年(2011年度実績)を実現しており、高い水準で運用されている。
 維持管理においては、ロボットによる床清掃など最新メンテナンス方式の導入、詳細な維持保全計画・長期修繕計画の立案・実行、修繕履歴・点検報告書等帳票類も適切な管理状態にある。
 当初の設計に余裕があったのか、それとも先見的に将来見据えた設計が行われたのか。今から振り返ってみれば、適正でバランスよい設計がしっかりした技術の元建設がされ、その後適正に利用・維持管理が安定して行われた結果として、50年経過しても、全く古びることない事務所ビルであることは間違いない。ロングライフビルとして高く評価でき、賞に値するものである。

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