28回BELCA賞ロングライフ部門表彰建物



霞が関ビルディング

所在地

東京都千代田区霞が関3-2-5

竣工年

1968年

建物用途

事務所、飲食店舗、駐車場他

建物所有者

三井不動産梶A一般社団法人 霞会館

設計者

三井不動産梶i新築)、且R下寿郎設計事務所[現 且R下設計](新築)、鞄本設計(改修)、鹿島建設梶i改修)、三井デザインテック梶i改修)、 鰍jMG建築事務所(改修)

施工者

鹿島建設梶i新築・改修)、三井建設梶m現 三井住友建設梶n(新築)、三井デザインテック梶i改修)、潟Gムズ(改修)

維持管理者

三井不動産梶A三井不動産ビルマネジメント梶A三井不動産ファシリティーズ
 霞が関ビルは1968年、日本初の超高層ビル(100m超)として竣工し、2018年に50年目を迎えた。1994年(平成6年)にはBELCA賞のベストリフォーム部門を受賞している。建設にあたっては、様々な新しい発想と工夫が行われ、柔構造理論を採用した初の耐震構造物であったが、大型肉厚H型鋼の採用、内装のモデュラーコーディネーション、トイレの床上配管に代表される徹底した設備のユニット化、自動制御運転管理や記録保存等々の技術は、その後の数々の超高層ビル建設の一般技術として継承されていった。
 そして、所有者は「経年優化」の思想のもと、伝統と品格を備えながら、時代に即したハイスペックオフィスとして稼働し続けることを目指し、「常に最新鋭ビルとの比較においても競争力を持たせるべき」との観点から、通常の維持保全工事に加えて過去3回に渡る大規模リニューアルを実施していった。
 まず、第一次リニューアル(1989〜1994年)として、オフィスのインテリジェント化やOA対応を実施。基幹設備を更新し、天井高さアップを含め、執務空間の機能向上を図った。第二次リニューアル(1999〜2007年)としては、既存テナントに対する働きやすさやワーカーの利便性向上を目指し、EVホール・廊下・トイレなど共用部のリフレッシュ工事、中央監視設備・ITVの更新、セキュリティ設備の増強・新設及び外装カーテンウォールの塗装工事を行った。第三次リニューアル(2006〜2009年)としては、隣接する東京倶楽部ビルと隣接PFI街区の建替を契機に、低層部商業・エントランスの増築を実施、建築基準法・消防法・その他関連法規の既存遡及対応工事、バリアフリー対応工事を行った。2011年以降〜現在に至るまで、東日本大震災後のBCP対応、安心・安全の提供として非常用発電機の72時間化、非常時のテナント電源供給、EVの耐震性能向上と自動診断仮復旧機能の追加、非常用井水の設置、さらにはビル防災センターの「見せる化」などを行った。
 環境対策としても、LED等長寿命照明の導入などで、一次エネルギー消費量は、開業後最大の2005年から直近の2017年で、2,375⇒1,530(MJ/u)と35%を超える大幅な省エネが図られており、ヒートアイランドへの対策としては既存樹木の保存、人工地盤上の広場緑化、排気塔など壁面緑化の拡大、高層部の屋上緑化などを実施している。
 新築時は特定街区であったが、第三次リニューアル時にその特定街区を廃止した上で、再開発等促進区を定める地区計画により、隣接街区と共に更に魅力的な街づくりを行っている。霞が関ビルは、適切な維持保全計画による超高層ビルの長寿命化の先進事例として、今後も霞が関・虎ノ門街区の更なる発展に貢献していくことになろう。

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