15回BELCA賞ベストリフォーム部門表彰物件

旧第四銀行住吉町支店

所在地 新潟県新潟市柳島2-10-1外、緑町3437-1
竣 工    1927
改 修 2004
用 途    博物館(レストラン・展示室・会議室)(改修後)
    銀行(改修前)
所有者   新潟市
改修設計者 鰹シ田平田設計
改修施工者 清水建設梶E轄l酎g、葛゚藤組
      第一電設工業梶A叶V潟日立、新冷工業梶A北陸ガス梶A三菱電機梶@

 旧第四銀行住吉町支店は日本建築学会「日本近代建築総覧」−昭和55年刊行 に“高い水準を示している大正・昭和期の金融機関の建築の一つ”と掲げられている。
 都市計画道路の整備に伴い除却されようとしていたが、新潟市が文化財としての価値を認め保存することとし、創立時の意匠を壊さずに現在求められる安全性を確保しながら、「新潟市歴史博物館 みなとぴあ」の敷地内に移築復元したものである。現在は、博物館施設を補完するレストラン、展示室、会議室用途として活用している。
 移築復元の基本方針として、旧建物の内外部の寸法を維持し外装石積花崗岩、内部ラワン材・大理石・石膏彫刻等の当初部材を出来る限り移築保存することとしている。
 構造フレームは仕上げ寸法を確保するため、基本的に柱・梁・壁を解体前の躯体断面とした上で現行耐震基準に適応な構造物として設計されている。上記基本方針を満足するために外装については湿式工法併用乾式工法の採用、内部壁・天井の漆喰・石膏彫刻については破損防止のためフイルムシート、発泡ウレタン、ビニロン繊維メッシュ、ベントナイト、特殊軽量モルタルなどによる養生の上での解体、またケイカル板やロックウールを使用して木下地共不燃化し現行法に適合させるなど施工的にも様々な工夫がなされている。
 解体移築と言うことで、設備面では全て新設となっているので、設備機能面では何ら問題が無い。各室のシャンデリア、壁ブラケット等照明器具は保存写真を元に、当時の姿に近い再現を行うことによって、復元された内装との調和を図っている。元々のペリメーター部を空調リターンに利用することや、壁コンセントを避け床に持って行く等、創建当時の雰囲気の再現には細心の注意が払われているのがよく理解出来る。建物の性格上今後の維持保全に関しても、機能維持の観点から相当の努力が払われるであろう。
 新潟市と有識者より構成される歴史的建造物保存活用検討会を設置し、進捗の各段階においての問題を解決しつつ進められたことも評価される結果に至った要因といえよう。