第13回BELCA賞ベストリフォーム部門表彰物件

旧古賀銀行



所在地:佐賀県佐賀市柳町2−9
用 途:博物館(改修後)
    事務所(改修前)
竣 工:1906年(明治39年)
改 修:1997年(平成9年)
所有者:佐賀市
改修設計者:叶ホ橋建築事務所
改修施工者:褐嚼ンセンター

 旧古賀銀行は、明治39年に佐賀銀行本店として建設され、木造2階建により外観を土蔵造りとした擬洋風建築であったが、大正5年古賀銀行の呼称変更を機に増築工事を行い、外観をタイル貼りとして本格的洋風建築となった。さらに昭和9年頃、佐賀商工会議所への用途変更に伴い、吹き抜けを塞いでホールを造るなど、大改修工事を行って、内部の姿を大幅に改めた。
 80〜100年近くたった当建物も老朽化が激しく、解体も検討されたが、歴史的建物を次の世代に伝えるため、佐賀市は市の文化財に指定し、平成9年に歴史民俗館としてリフォームを行った。復原は、大正5年改築当時の本格的洋風建築を目指し、極めて限られた手がかりを元に、幾多の困難を乗り越え、見事にまとめあげられている。
 外壁は木造軸組の下地に平瓦を貼り、これにタイルを圧着するという特殊工法を採用しているうえ、一部には雨水の浸入により軸組が腐食し、明らかに危険な状態であったため、既存の外壁タイル全般について圧着力試験を行ったところ不合格となった。補強方法としては、文化財としての価値を損なうことのないよう、種々の検討が重ねられた結果、カーボンシートで固定して、ステンレスアンカーピンにより緊結することで、所期の目標を十分に満足させている。
 構造面についても、腐食した部材は新材に取替え、風、地震時等の水平耐力の不足している箇所については金物や鉄骨部材による補強を施し、さらには建物内部の要所には建築計画との整合を図り、バランス良く鉄骨の筋かいを配し、公共建築物としての安全性を十分確保している。
 設備的にみると、既存の建物の時には別棟で衛生設備が設置されていた。今回、建物内に全室に空調設備と喫茶部に給排水設備を新設しているシンプルな設備になっている。