株式会社安井建築設計事務所

■会社情報

本社所在地

本社・大阪事務所所在地
540-0034
 大阪市中央区島町2-4-7

 東京事務所 
 102-0093
 東京都千代田区平河町1-3-14

 名古屋事務所
 461-0001
  名古屋市東区泉1-10-23

*他地区についてはホームページ参照

ホームページ
http://www.yasui-archi.co.jp/
主な事業内容
建築の設計監理、土木の設計監理、
都市の設計監理、各種マネジメント業務、コンサルティング業務、プロパティ・ファシリティ関連業務、BIM活用支援、コンピュータ業務等

ks122安井建築設計事務所

■ビルのロングライフ化に向けた取組み
 
@取組みの基本方針
建築物を資産として有効利用しつつ、そのロングライフ化に努め、持続可能な社会の形成に貢献します。
 当社は、マネジメントビジネス部、ファシリティ・ソリューション部で構成されるマネジメントビジネス部門を中心に全社をあげてビルのロングライフ化に努めております。ロングライフを企図した建築の企画、設計、監理、コンサルティングを行うのはもちろん、環境寄与・エネルギーマネジメントの観点から、診断・リニューアル・リスク評価等ビルオーナーの皆様のお役に立つ様々なソリューションを提供しています。
建築物のライフサイクル(企画・設計・建設→運用管理→解体)の各過程において、新しい技術・機器・部材等の活用を図りつつ、物理的劣化、ニーズ の変化、技術革新等に対応しつつ適切にマネジメントして、建築物のロングライフの実現に努めます。
 当社は、グループ会社である株式会社安井ファシリティーズとともに、ビルのライフサイクルマネジメント(LCM)に力を入れております。ローコスト環境測定システムの開発や、3次元情報をもとにした簡易ファシリティーシステムの構築などを行い、既存建物への資産管理システムを導入して施設のロングライフ化を図っています。
建築物の企画・設計・建設に関し、建築物のライフサイクルにわたるコストの低減、環境負荷の縮減、維持保全の容易性とフレキシビリティの確保に努めます。
 当社の環境ソリューションの基本的な考え方は以下の3点です。

@ IPDに基づく環境デザイン
 建築環境デザインは総合技術です。プロジェクトの関係者を統合して情報を共有し、より良い結果に導く方法とされるIPD(Integrated Project Delivery)の考え方を基本に、3D−CADツール・BIM(Building Information Modeling)を用いた設計プロセスとツールによりデザインとエンジニアリングが有機的に融合した環境デザインを提案します。

A エネルギーの選択と利用
 建築におけるエネルギー利用について、地域特性や再生可能エネルギー買取などのインセンティブ制度を活用し、クライアントのニーズに応じた最適な利用方法を提案します。特にこれからの環境技術は、スマートコミュニティ形成を前提とした、創エネルギーの融通利用とそれに伴うマネジメントが主要なエネルギー利用技術のテーマであると位置づけています。

B ファイナンスサポート
 計画した環境システムを実際に実現するための資金調達について、様々な補助金制度やエネルギーサービス事業などのファイナンシャル手法の活用を提案しサポートを行います。
建築物の運用管理に関し、コストの低減や環境負荷の縮減に配慮しつつ、維持保全計画に基づいて運用・保全(修繕、更新)するとともに、ニーズの変化、技術革新等に対応してバリューアップ(改修)に努めます。
 維持・保全に加え、資産価値の向上や管理の省力化に向けたノウハウも日々進化しています。ストック型社会では、建物の長寿命化や大規模災害への備えを欠かすことができません。当社の持つ最新の技術と知見で、築後数十年を経た建物も、バリューアップにより優れた長寿命性能を備えた建築に再生することができます。
建築物の運用管理における適切なマネジメントに資するため、公正中立な調査・診断・評価を行います。
 当社の技術者は、建築・設備・環境・情報技術等に精通し、豊富な経験と高い技術力を有しており、公正・中立な診断を実施することができます。また、当社はBELCAの考え方に基づいたエンジニアリング・レポート(ER)作成も行っており、ER作成の実績も豊富に有しております。
建築物のロングライフの実現に向けた適切なライフサイクルマネジメントのために、不断に、企画力・技術力の向上、人材の育成に努めます。
 ストック型社会では、建築に対する技術論的アプローチだけでなく不動産的アプローチも理解しておく必要があります。当社では、社内研修等により社員の技術的スキルアップに努めるとともに、不動産の流通にも目を向け実務によるジョブトレーニングを行っています。


Aビルのロングライフ化に関係する事業
 当社は、総合設計事務所として、企画、設計、監理、メンテナンス、診断、リニューアル、リノベーション、耐震改修など、様々なソリューションを提供しています。

 幅広い業務分野と90年を超える設計・監理実績をもとに、当社及び株式会社安井ファシリティーズは今後のストック型社会の鍵となるエネルギーリサイクル事業へも拡大を図ろうとしています。

Bビルのロングライフ化に関係する資格者
●BELCA資格保有者数(2023年4月1日現在)
建築設備診断技術者 1人
●その他の資格者数(2023年4月1日現在)
・ファシリティマネジャー 14人
・特殊建築物調査資格者    3人
・1級建築士         212人
・構造設計1級建築士    21人
・設備設計1級建築士     11人
・建築設備士         34人
・1級建築施工管理技士 18人
・1級管工事施工管理技士  19人
・1級電気工事施工管理技士  11人
・主任技術者 2種              1人
・電気主任技術者 3種          4人
・情報処理技術者(ITパスポート)     4人
・WES8103特別級溶接管理技術者 1人
・コンクリート主任技士          1人

  

Cビルのロングライフ化に関係する技術
 多様な技術がビルのロングライフにいろいろな形で役立っています。以下に、その事例をいくつか列挙します。当社は様々な要望に対し、適切なソリューションを提案し、実現してきました。
●耐震関係
(事例1)建物を使用しながら中間層に免震装置を設置した耐震改修
 「建物を利用しながら、かつ、建物機能を阻害しない補強計画」に対する要望を請け、合理性と経済性の観点から、中間層免震建物を提案しました。1階の総ての柱を切断し、新たに免震装置を設置することで、40年前に建設された行政庁舎は現在の技術で免震構造の建物として再生しました。


(事例2)意匠性に配慮したさりげなく目立たない制震装置による耐震改修
 空港施設にふさわしい耐震改修計画として制震構法を採用しました。「粘性制震壁」は、内部に粘性体を充てんした外皮となる箱体と、それに挿入した抵抗板で構成されています。複雑な地震の揺れをコンパクトな形状に設計された粘性制震壁が吸収し、ゲートラウンジでは「さりげなく目立たず」をコンセプトに、意匠性に配慮して粘性制震壁を設置しています。
●環境/エネルギー関係
(事例3)ターミナルビルを、サスティナブルに増築・改修      
 竣工時より、改修・設備更新の機会をとらえ、常に最先端の環境省エネルギー技術を取り入れてきましたが、さらに大温度差低温送風ユニットを大々的に採用し、小風量化によりファン動力を低減、ダクトサイズダウンにより階高を縮減できました。竣工時のユニットはサイズが大きく、天井内の収まりやレイアウト変更に課題がありましたが、増築に伴い既存部も含めてコンパクト化しました。時代のニーズに応えながら進化を続けるサスティナブル技術を目指しています。       

(事例4)運用データの見える化による省エネシステムの実現               
 設備管理者のいる大規模ビルでは、BEMS(ビルディング・エネルギー・マネジメント・システム)などを用いた省エネルギー管理も容易ですが、建物の大多数を占める中小ビルでは、利用者自身が省エネルギーに関する意識を持ち、行動に移す必要があります。本事例では最新の省エネルギー情報制御技術を導入し、「運用データの見える化」を主要テーマに計画しました。在・不在検知による照明・空調制御や用途・部門ごとのエネルギー消費量の収集などを安価なシステムで可能になりました。新築建物事例ですが、このような考え方やシステムは既存建物にも応用が可能です。
●ロングライフ建物関係
(事例5)新しい機能を付加しながら「変えない」をテーマとした改修
 20周年を迎えたコンサートホールの改修にあたって、メインコンセプトは「歴史の継承」「ユニバーサルデザイン」「新しい試みに対応する設備の充実」としましたが、大きなポイントはメモリアル性を重視した「変えない」という心でした。
建築主・設計者・施工者がこの考え方を共有し、一体となってプロジェクトに取り組みました。建築主の建物に対する深い理解がロングライフを生み出す力となります。

(事例6)日本における近現代建築は、概して「壊す」ことよりも「残す」ことのほうが難しく、さらに「活かす」ことは困難を極めます。本事例では著名な建築家が設計をしたオフィスビルを行政庁舎として「活かす」ことが目的とされました。あわせて、耐震補強や設備改修・新たな機能の付加もおこない、現代の技術により蘇生した著名建築は、建築経済理論による概念的な葛藤を乗り越えることができました。
Dビルのロングライフ化に関するその他の情報

 当社では、設計の早い段階で徹底的に絞り込んだ設計をまとめきる「フロントローディング」を重視し、多様化する環境問題や刻々と変化する設計条件にも柔軟に対応し、プロジェクト関係者との合意形成と高い品質の建物を実現できるよう、IPDにもとづく「顧客志向」のBIM活用を推進しています。BIM(Building Information Modeling)はクライアントの事業満足を高めるための建築プロセスの変革です。BIMは単なる建物のモデリング技術ではありません。IPD(Integrated Project Delivery)の概念と融合させ「プロジェクトの利益共有者が情報共有して顧客の利益を最大にするマネジメントの仕組み」と概念を拡大し業務展開しています。
 BIMの究極はFMであると言われています。BIMデータに記述された属性データを効果的に利用することで施設管理維持に有効に利用できます。BIMの活用は、管理効率の向上に繋がり、建築のロングライフ化にとっても有益となります。当社は、BIMを単なる設計ツールやコミュニケーションツールという枠を超えて、建築主が活用できるツールに高めていきたいと考えています。

BIM+FM
図1 建築データの統合的管理のために活用されるBIMデータのイメージ