第13回BELCA賞ベストリフォーム部門表彰物件

ノリタケの森



所在地:愛知県名古屋市西区則武新町3−1−36
用 途:店舗、レストラン、ギャラリー(改修後)
    窯業土石製品製造工場(改修前)
竣 工:1954年(昭和29年)
改 修:2001年(平成13年)
所有者:潟mリタケカンパニーリミテド
改修設計者:大成建設
改修施工者:大成建設

 JR名古屋駅から北西へ700メートルに位置する準工業地域の一画に、1904年創業の白色陶磁器を製造する株式会社ノリタケカンパニーリミテドの工場がある。10ha近くの広大な敷地には、大小の工場が所狭しと立ち並び、高さ45メートルの6基のコンクリート造の煙突からは、白煙が空高くたなびき、名古屋経済の担い手として、真に日本の活力を象徴する風景を一世紀に亘り永く演出してきた。 
 しかし近年、事業の多角化に伴い、徐々に工場の地方への移転が進み、2005年の創業100年を記念し、工場跡地に公開性の高い市民に開かれた施設作りを基本理念として、この度見事に企業文化を発信する複合施設を含む緑の拠点「ノリタケの森」として生まれ変わり、工場固有の閉塞的で暗いイメージが一新された。
 既存工場施設は極力保存・改修することとし、現行の耐震基準をクリアするよう適切な耐震改修を施し、参観施設、ミュージアム、店舗、レストラン、ギャラリー等に用途変更するとともに、広い敷地に分散された棟毎に電気設備と空調設備及び給排水衛生設備が設置されており、工場管理のノウハウを生かした設備機器を配置し、予防保全管理を行っている。ランドスケープの基本的考え方は、工場の解体で現れた産業遺産や解体時の廃棄物などを活かした敷地全体のリニューアルを行いながら、地域の新しい都市景観を創出している。
 解体時に発生した煉瓦塊を擁壁や舗装材に活用したり、工場のシンボルでもあった煙突群を10メートルの高さに切り揃え、ランドマークとして残すとともに、煙突につながる煉瓦の煙道の一部を保存し、ランドスケープに採り入れ、歴史的エレメントの現代への再生を図っている。