第14回BELCA賞選考総評


BELCA賞選考委員会委員長 内田 祥哉

 BELCA賞は、良好な建築ストック、つまり社会の中で生き生きと活用される建築の形成に寄与することを目的に設けられた賞で、綿密な長期計画で適切な維持保全を継続しているもの、優れた改修を行って建物を蘇生させたものから、特に優秀なものを選び、その関係者をロングライフ、ベストリフォームの二部門に分けて表彰している。平成3年以来13回、合計で表彰件数は126に達するが、地球環境問題などを背景に、建築物の長期利用の気運が高まる中で、応募は漸増の傾向にある。

 ところで近年、社会の変容に伴う建築性能・設備の変革が速度を増すにつれ、長寿化のためにも機能・設備の更新が、欠かせなくなり、ロングライフとベストリフォームの違いが微妙になっている。この状況を捉え、第11回の選考よりロングライフとベストリフォームの区別にこだわらないで、合計10件を選ぶことになったが、以来偶然にも毎年それぞれ5件ずつとなり、今回もまた5件ずつとなった。

 今回のロングライフ部門の入選は、学校3件、宗教施設1件など用途が安定した施設の多い中に、ただ1件、老舗の百貨店が加わったのが異色で、老舗のブランドイメージと、古典的建物イメージを重ね合わせるねらいがあるとも思われる。ベストリフォーム部門でも、中古建築の外装を保存してレストランのイメージ造りをしたものがあり、レトロ趣向が社会の若年層にも浸透しつつあることを感じさせた。

 それとは逆に、ベストリフォーム部門では、引き続き「コンバージョン」への関心が高い反面、今回は、学校・庁舎・美術館など、用途変更の無いリフォームが多数となった。これらは、建設当初のままでは時代の変化に遅れるとして、設備・機能を一新するリフォームである。竣工時の機能をそっくり維持・温存するだけでは時代の要請に追いつけない昨今の情勢を感じさせる。他方、竣工時に先進的で高度な機能を持っていた建物が、その後の維持管理で当初の技術より見劣りするとして、選考から漏れたものがあった。優れた先進機能を持って竣工した建物には、維持管理の段階でも、先進的であってほしいというのが、審査員達の願望であったようだ。

 昨年は新しい地域からの応募入選が印象的であったが、本年は繰り返し、あるいは類似の物件の応募が、目についた。今回表彰される物件が、我が国の優良な建築ストックの形成に寄与することを願い、受賞物件の関係者に対して深く敬意を表したい。