第11回BELCA賞ベストリフォーム部門選考講評

BELCA賞選考委員会副委員長 内井昭蔵

 賞も11回を迎え、本年度から新しい体制により選考を行った。選考委員の交代と若干の選考方法の手直しを行い、この顕彰制度の更なる充実を図った。
 選考方法は応募書類と資料に基づき選考委員全員の出席のもと、慎重に審議を重ね最終的には投票により第二次選考に値する作品を選定した。
 建築のリフォームに関しては応募状況から考えるに、近頃の地球環境問題に対する一般社会の関心が高まったことによるスクラップアンドビルト的な取り壊しに対する反省や建築の歴史から価値に対する認識が高まったことを実感した。
 応募作品はさすがにベストリフォームというだけに優れたものが多く応募者の自信を垣間見ることができた。結局、第二次選考に回ったのは10作品だったが選にもれたものも決して悪かったわけではなく評価に値するものが多かった。最終的には更に検討の末、以下の5作品となった。
 「秋田公立美術工芸短期大学・秋田市立新屋図書館」は秋田市郊外にある食糧倉庫群の保存再生である。1934年に国立農業会館として建設されたものを形態と構造を生かし、美術工芸系短期大学と地域図書館と生涯学習拠点など合わせ、教育文化センターを構成している。又、新設の大学研究棟との新旧の対比的美しさを充分に発揮された優れたリフォームであると評価された。
 「カラコロ工房」は松江市にある長野宇平治設計による旧日本銀行松江支店のリフォームである。ここに旧銀行の面影を残しながら、カフェ・展示室などの商業施設を入れガーデンテラスを挟んで新築の工房棟が建てられ、これも新旧のデザインの対比的美しさをつくり出している。
 「京都芸術センター」は京都の町衆が醵金して作った番組小学校の一つ、明倫小学校を芸術センターに改造したものである。京都市内にはこのように児童数の減少により廃校となる小学校がいくつかあるが、これらは京都市の文化施設、コミュニティ施設などに改造され新しい市民活動の拠点となっている。この芸術センターは旧小学校の構造をたくみに利用し、市民の芸術意欲をかき立て、作品発表の場として生き返っている。
 「大和銀行虎ノ門ビル」は時間が経過し、老朽化したビルに手を入れリニューアルして生き返らせた例である。耐震性を補強するためのグリットフレームを外観デザインに利用し、更に利用しながらの改造をなしとげるなど、これからのビルのリニューアルの方法として多くの示唆を与えるものと評価された。
 「フロインドリーブ」は神戸の有名なベーカリーだが、ヴォーリス設計による旧神戸ユニオン教会が廃墟寸前のところをフロインドリーブの経営者がこれを購入、名建築の保存ができた。教会のもつ精神性を感じさせる内外の造形はベーカリーとして又、ティールームとして生かされ神戸らしい独自の雰囲気をつくっている。歴史的価値のある建築をこのような形で保存ができたのは建築を愛するオーナーの存在があったからと思う。
 リフォームには様々なやり方があるが、その条件で忘れられないのは本体の建築が優れた芸術性又はデザインであることが条件だということだ。ロングライフにしてもベストリフォームにしても建築のもつ芸術性・デザイン性がベースになければ存続不可能である。