第12回BELCA賞ロングライフ部門

日清製粉株式会社 鶴見工場工場本館

所在地:川崎市川崎区大川町3−1

用 途:製粉工場

竣 工:1925年(大正14年)

所有者:日清製粉

設計者:清水建設

施工者:清水建設

維持管理者:日清製粉

 

 

この建物は、19238月の着工直後に関東大震災に見舞われ社会が大混乱する中で、当時としてはめずらしいフルウェブの鉄骨を用いた鉄骨鉄筋コンクリート造が採用され、施工にあたっては最新の建設技術が西欧より導入され、1925年に竣工している。竣工後76年を経た今日、構造躯体は未だに健全な状態を保っているのは驚きである。1959年には床の補強、1983年には基準の改正に伴う耐震改修を、また1998年には阪神大震災の状況を踏まえての耐震改修が行われている。更に、大地震による液状化についての調査・検討を実施し、液状化対策工事が予定されている。文字通り「備えあれば憂いなし」が着実に実行され、そのことが日常の維持管理業務の中に自然に組み込まれている点は高く評価されよう。

またドイツから導入された製粉技術は、1931年に粉塵爆発による火災で生産設備の大半を焼失したが、事故を教訓として安全対策にフィードバックして1933年に復旧。1945年には第二次世界大戦時の空爆により再び生産設備を焼失し、1949年に復興工事が完了と、波乱の道をたどっている。

1957年にはニューマチック化設備が施工され、今日も生かされ、40年を越える機材が随所に設置されている。建物は製粉のための設備以外特に無く、ブロワーによるミルの粉砕・輸送等に利用され、特に輸送の中では重量混合比を変えて上下させている点が特徴である。また設備保全にも力を入れ「手入れ、使いつづける文化」が活かされている。

建築設備としての冷暖房設備は無いが、高効率トランス・モーターをはじめとして新規施設へは、省エネルギー対策が考えられ、建築・設備全般にわたる維持保全計画が徹底され、所有者・維持管理者の長寿命化への姿勢が強く窺われ、ロングライフ建築を代表するものと言えよう。